1.誰かが使う(住む) |
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使う人の名義にするが、不公平を無くすため使う人から使わない人にお金を支払うなどするパータン。
誰の名義にするか、不公平感を無くすためのお金の計算で揉めやすいです。
2.物理的に分ける(土地を分割する) |
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例えば、更地を2分割することで一つの不動産を二人に分けられます。
しかし土地の形状(間口が狭い)や面積(狭い)、建物がある等の理由で分割できない場合も多く揉めやすいです。
3.売却してお金で分ける |
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3種類の方法の中で一番分けやすい。しかし、売りたくない人がいると売却できないのが難点。
また、誰の手配でいくらで売却するかで揉めることも多い。
では、相続される子供たち孫たちがずっと笑顔でいられる不動産の分け方ってあるのでしょうか?
結論から言うと、一族のみんなが必ず満足できる分け方は存在しませんので、ケースバイケースでの対応が求められます。
なぜなら、上記の3種類の分け方にはメリット・デメリットがあり、不動産の立地、規模、種類、ご家族の状況がそれぞれ異なるからです。
一族幸せになるための「不動産の分け方の対策」のコツは?
方法(テクニック)よりも「どうしたら、ずっとみんなが笑顔でいられるか?」という考え方やバランス感覚が大事です。
では、一族がずっと笑顔でいられるバランスの良い考え方とはどのようなものでしょうか。
不動産を築き上げた人(所有者)の意思を優先し、不公平を恐れないこと
大切な不動産を誰にどう使って欲しいかという、不動産所有者の希望がある場合は、その意思を優先しましょう。
相続の際に相続する人がもらえる割合(法定相続分という)が法律で定められています。
相続する人が3人の子供たちの場合、もらえる権利は3分の1ずつ平等となります。
法律で分け方の割合が決まっていても、所有者の意思を優先しても法律的に問題ありません。
同居の長男に不動産を譲る。ということも可能です。
法律による分け方の割合の定めは、相続時の話し合いがまとまらず、裁判所のお世話になる際に適用されるもので、所有者の意思を「遺言書」で指定しておくと、遺言書の分け方が優先されます。
法定相続分以外の分け方をする予定があれば、必ず「遺言書」を作成しておきましょう。
法定相続分以外にも必ず相続できる権利(遺留分という)が法律で定められていますが、所有者の意思を相続する人みんなに説明して、納得してもらえる場合、必要以上に不公平な分け方を恐れないことも必要です。
相続する人の状況に合わせたバランス感覚を
子供たちの経済状況や身体は調子の良い人、悪い人がいます。
お金に不自由していない人と生まれつき身体が弱く定職に就けない人がいたら、後者の身体の弱い人に多くの財産を遺すというバランス感覚が大切です。
不動産が一つで、分ける人が複数の場合はお金で分ける
一つの不動産を複数に分けるのは難しいです。
複数の名義(共有という)にすることは可能ですが、共有した人の同意が無いと使用や処分を自由にできないので、おすすめしません。
だれか一人の名義にするともらえない人とのバランスが悪く、人間関係まで影響が出そうな時は、不動産を売却してお金で分けた方が良いケースがあります。
10人に1人、約9%(令和3年度全国平均)の人しか相続税はかかりません。
10人に9人は相続税がかからないのです。
また、わずかしか相続税がかからないのに、一円も相続税を払いたくないという理由で無理して節税対策する人もおられますが、全くお勧めしません。
いきなり相続税対策から始めるのではなく、いくらくらい相続税がかかりそうか知ることが大事です。
その上で、相続税の対策をするべきか?しなくても大丈夫か?を検討しましょう。
相続税は、引き継ぐ財産以上に支払う必要はありません。
大変な資産家でも最高税率55%、しかもいろんな税金が安くなる制度(控除や特例など)が受けられます。
引き継ぐ財産から相続税は払えるので、ひとまず安心してください。
自分で調べたりせず、第三者に勧められるまま相続税対策を進めてしまうと悲劇が起こる可能性がありますので、慎重に行動しましょう。
お得な相続税対策を優先した結果、ご家族がぎくしゃくしてしまっては、意味がありませんからね。
一族幸せになるための財産の分け方を優先することが最も大切です。
1.実家
両親が亡くなると空き家になる可能性が高いので、誰が引継ぎどう使って欲しいかを、持ち主が元気なうちに決め、遺言書を作成しておくことが大切です。
子供たちみんなに持家があったり、遠方で誰も引き継ぐ人がいない場合、売却してお金で分けるように遺言書に指定しておくと良いでしょう。
同居している人がいれば、なるべくその人に実家を引き継ぐようにするのが自然です。
2.人に貸している不動産
まずはその不動産に相続税がかかるかどうかを調べておきましょう。
賃料は安いのに相続税が高額な場合、生前に売却を検討することが重要です。
賃料が周辺相場より著しく安い場合は、賃料の値上げや借主の立退きも検討しましょう。
3.別荘や使っていない不動産
誰も引き継ぐ人が無く、常時使用していない不動産は生前に売却して整理しておくと良いでしょう。
不動産は、使わなくても固定資産税や草刈り等の維持管理費がかかり、更に相続税の課税対象にもなります。
何もしないことがリスクになりますので注意しましょう。
4.農地
農地はとてもとても複雑です。
数ある不動産の種類の中で一番難しいと言っても過言ではありません。
農地以外の不動産は、所有者の一存でいつでも売却できますが、農地は、農業委員会等の許可や届出が必ず必要です。
農業資格のある人にしか売却できないケースもあります。
また、都市部にある生産緑地の場合、厳格な要件を満たさない限り売却できません。
気を付けるポイントはまだあります。
農地は、直接道路に面していないケースが多いので、すぐに買手がみつかりません。
そして農地は面積が広いので、高額な相続税がかかる可能性があります。
引き継ぐ人がいる、いないで相続税額が大きく変わる可能性があります。
所有者が元気なうちに、農地を誰に引き継ぐか決めておきましょう。
引き継ぐ人がいない場合、生前の売却を検討しておきましょう。
納税猶予の特例と言って、農業を続ける相続人のために相続人が死ぬまで農業を続けた場合、本来かかるはずだった農地に対する相続税が免除される制度もあり、よく調査する必要があります。
農地の相続対策は特殊なので対応できる専門家が少ないため、その分野を得意としている専門家に相談する必要があります。
5.山林
山林も農地のケースと同じで直接道路に面していない場合が多く、どこからが自分の山林であるか境界線が不明なため、すぐに売却できないことが多いので注意が必要です。
売りたい人が多いが、買いたい人が少ないため、価格を低くしてもなかなか売却できません。
隣地の方に安くでも買取ってもらったり、お金を支払ってでも引き取ってもらったりする等の工夫も検討しましょう。
林業を営んでいない場合、生前に処分することで、一族みんなの笑顔相続につなげられます。
処分には時間がかかりますので、なるべく早めに取りかかりましょう。
6.借りている不動産(借家、借地)
借りている不動産も相続の対象になります。
引き継ぐ人がいない場合、すぐに解約できるように貸主や管理会社の連絡先を家族に伝えておきましょう。
賃貸契約書が無いと、誰が家主でどこに連絡したら良いかを調べるのも大変です。
特に、建物は自分の名義だが、土地は借りているケースには注意が必要です。
自分の建物とはいえ借地の場合、地主さんの許可が無いと建替えたり、大規模リフォームしたり、売却したりできません。
借地権付き建物を買いたい人も少ないため、すぐに処分することが難しいです。
借地権付き建物を引き継ぐ人がいない場合、生前に処分することで、一族みんなの笑顔相続につなげられます。
処分には時間がかかりますので、なるべく早めに取りかかりましょう。